タキシフォリン粒子を腸溶性コーティング剤で修飾すると、炎症とオートファジーのシグナル伝達経路を調節することにより、マウスにおける急性肝障害の修復が促進される。
Ding Q, Chen K, Liu X, Ding C, Zhao Y, Sun S, Zhang Y, Zhang J, Liu S, Liu W.
Pharmacother. 2022 Aug;152:113242. doi: 10.1016/j.biopha.2022.113242. Epub 2022 Jun 9.
[概要(翻訳版)]
目的:タキシフォリン(TAX)は肝保護作用を有するフラバノール化合物であるが、水溶性が低く経口バイオアベイラビリティが低いため、その応用は大きく制限されている。したがって、TAXの経口バイオアベイラビリティを改善する方法を早急に見出すことが重要である。方法 本研究では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート修飾タキシホリンリポソーム(HPMCAS-TAX-Lips)を薄膜分散法により調製し、リポソームの一連の物理化学的特性を検討した。遊離TAX,タキシフォリンリポソーム(TAX-Lips)およびHPMCAS-TAX-Lipsの模擬消化管液中における累積放出率をin vitro放出実験により測定し,ヒト肝細胞癌(HepG2)細胞に対するHPMCAS-TAX-Lipsの効果をMTTアッセイにより検出した。最後に、in vivo実験によりHPMCAS-TAX-Lipsの肝保護メカニズムを探索した。
結果 その結果、HPMCAS-TAX-Lipsの粒子径は100.44±2.85nm、ゼータ電位は-51.13±0.57mV、PDIは0.170±0.088、EEは87.9±3.73%であった。in vitroの結果、24時間の模擬胃液中におけるTAX-LipsおよびHPMCAS-TAX-Lipsの累積放出率は、それぞれ92.60±5.31%および66.91±1.20%であった。また、24時間の模擬腸液中での累積放出率は、それぞれ72.61±4.38%および53.94±3.2%であった。細胞毒性実験の結果、HPMCAS-TAX-LipsはHepG2細胞に対して有意な抑制効果を示した。さらにin vivo実験では、HPMCAS-TAX-Lipsは、リポ多糖(LPS)/D-ガラクトサミン(D-GalN)誘発急性肝障害マウスの生存率を有意に改善し、オートファジータンパク質の発現を制御し、toll様受容体4(TLR4)/核因子κB(NF-κB)シグナル伝達経路の活性化を抑制することにより、肝保護効果を発揮することが示された。
結論 本研究は、HMPCAS-TAX-Lipsの有意な肝保護効果を証明し、TAXの応用に新たなアイデアを提供した。