タキシフォリンはCaco-2細胞単層モデルにおいてNF-κB/MLCK経路の減衰を介してリポ多糖誘発腸管上皮バリア機能障害を改善する
Gong S, Zheng J, Zhang J, Wang Y, Xie Z, Wang Y, Han J.
Food Res Int. 2022 Aug;158:111502. doi: 10.1016/j.foodres.2022.111502. Epub 2022 Jun 13.
[概要(翻訳版)]
腸管上皮バリアの機能不全は、いくつかの腸疾患の原因となる。フラボノイドは腸管上皮バリア機能に有益であることが示されている。しかし、天然由来のフラボノイドであるタキシフォリン(TAX)が腸管上皮バリア機能に及ぼす影響については不明である。そこで、本研究の目的は、Caco-2細胞単層モデルを用いて、リポ多糖(LPS)誘発性の腸管上皮バリア機能障害に対するTAXの保護効果と潜在的なメカニズムを検討することであった。その結果、TAXは、損傷した腸管上皮バリアにおいて、経上皮電気抵抗(TEER)を増加させ、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)-デキストラン(4 kDa)フラックスを減少させた。一方、TAXは、LPSによって誘発されたタイトジャンクション(TJ)タンパク質(クローディン-1、ゾヌラオクルデンス[ZO]-1、オクルディン)のmRNAおよびタンパク質の発現低下を抑制し、TJの連続的な分布パターンの乱れを改善した。これらの結果から、TAXは腸管上皮のバリア機能障害を改善することが示唆された。そのメカニズムについては、TAXはCaco-2細胞単層でのLPS誘発性の腫瘍壊死因子(TNF)-α、インターロイキン(IL)-1β、IL-6の分泌を減少させた。さらに、TAXは、LPSで処理したCaco-2細胞において、核内因子κB(NF-κB)、NF-κBα阻害タンパク質(IκBα)、ミオシン軽鎖(MLC)のリン酸化を抑制し、ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)の発現を低下させた。まとめると、TAXはNF-κB/MLCK経路と炎症性因子の分泌を阻害することによりTJタンパク質を維持し、LPS誘発性の腸管上皮バリア機能障害を改善することができる。従って、TAXは腸管バリア機能障害を改善する機能性食品の有望な候補物質である。
[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin ameliorates lipopolysaccharide-induced intestinal epithelial barrier dysfunction via attenuating NF-kappa B/MLCK pathway in a Caco-2 cell monolayer model