脳アミロイド血管症におけるタキシフォリンの多面的神経保護効果

Inoue T, Saito S, Tanaka M, Yamakage H, Kusakabe T, Shimatsu A, Ihara M, Satoh-Asahara N.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2019 May 14;116(20):10031-10038. doi: 10.1073/pnas.1901659116. Epub 2019 Apr 29.

[概要(翻訳版)]
脳アミロイド血管症(CAA)は、脳血管系におけるアミロイド-β沈着に起因する。アルツハイマー病を伴うことが多く、認知症を引き起こす。私たちは最近、CAAのマウスモデルにおいて、タキシフォリンが脳血流を改善し、脳からのアミロイドβ除去を促進し、経口投与したときに認知機能障害を防止したことを示した。ここで、タキシフォリンは血液脳関門の透過性が低いにもかかわらず、ApoE-ERK1 / 2-アミロイド-β前駆体タンパク質軸を抑制することにより、タキシフォリンがアミロイド-βの脳内産生を阻害することを示した。骨髄細胞2(TREM2)で発現するトリガー受容体の発現レベルが高いほど、脳の炎症の悪化と関連していた。タキシフォリンは炎症を抑制し、脳内のTREM2発現細胞の蓄積を緩和した。また、グルタミン酸レベルと酸化組織の損傷を軽減し、アポトーシス細胞死を示す活性カスパーゼの脳レベルを低下させた。したがって、タキシフォリンの経口投与は、アミロイド-β産生を抑制し、炎症性ミクログリアの表現型を有利に調節することにより、CAAに脳内多面神経保護効果をもたらした。

[原文:Linked PubMed®]
Pleiotropic neuroprotective effects of taxifolin in cerebral amyloid angiopathy.