in vitroでの幹細胞分化と上皮間葉転換の抑制およびヌードマウスでの発がん抑制を介した肺がんに対するタキシフォリンの抗腫瘍効果について

Wang R, Zhu X, Wang Q, Li X, Wang E, Zhao Q, Wang Q, Cao H.
Ann Transl Med. 2020 May;8(9):590. doi: 10.21037/atm-20-3329.

[概要(翻訳版)]
背景 :タキシフォリンは、抗酸化作用と抗増殖作用を持つ天然フラボノイドである。本研究では、2つの肺がん細胞株、A549とH1975、およびA549異種移植片におけるタキシフォリンの幹細胞関連抑制効果について検討した。

方法 :A549とH1975細胞、およびA549異種移植片のBALB/cマウスをタキシフォリンで処理した。細胞生存率、幹細胞性、移動性およびタンパク質発現は、それぞれCell counting kit-8 (CCK-8), Colony formation assay, Flow cytometry, Transwell, Western blot および Immunohistochemistryで検査した。

結果: CCK-8は、高用量で両細胞株に対してタキシフォリンの明らかな毒性を示した。その後、0、25、50、100 µM/Lのタキシフォリンが使用された。タキシフォリンは、幹細胞やスフィア形成に対する抑制効果を示し、SOX2やOCT4のタンパク質発現を減少させ、CD133陽性細胞を減少させた。さらに、Taxifolinは浸潤細胞を減少させ、N-cadherinとvimentinを減少させる一方でE-cadherinの発現を増加させ、上皮間葉転換(EMT)が抑制されることを示した。観察された効果はすべて用量依存的に現れ、A549細胞はH1975細胞よりもタキシフォリンに敏感であることが証明された。タキシフォリンは、PI3KおよびTCF4タンパク質のリン酸化を不活性化したが、NF-κB P65またはSTAT3に対する効果は観察されなかった。タキシフォリンは、A549異種移植BALB/cマウスにおける腫瘍増殖も抑制し、SOX2およびOCT4の発現を減少させ、PI3KおよびTCF4を阻害した。

結論 :まとめ:タキシフォリンは、おそらくPI3KとOCT4の不活性化を介して、肺がん細胞の幹細胞化とEMTを阻害した。タキシフォリンはプロドラッグとして、あるいは肺がん治療におけるアジュバントとして機能する可能性がある。

[原文:Linked PubMed®]
The anti-tumor effect of taxifolin on lung cancer via suppressing stemness and epithelial-mesenchymal transition in vitro and oncogenesis in nude mice