シリマリンフラボノリグナンおよびタキシフォリンに対して活性なヒト硫酸基転移酵素の同定
Vrba J, Papoušková B, Kosina P, Lněničková K, Valentová K, Ulrichová J.
Metabolites. 2020 Aug 12;10(8):329. doi: 10.3390/metabo10080329.
[概要(翻訳版)]
天然フェノール化合物は、第二相代謝反応によって代謝されることが知られている。本研究では、ミルクアザミの果実から生産される生薬シリマリンの主要成分のin vitro硫酸化について検討した。シリビンA、シリビンB、イソシリビンA、イソシリビンB、シリクリスチン、シリジアニンなどの主要フラボノリグナン成分、およびフラボノイドのタキシフォリンに着目して検討した。超高速液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析計(UHPLC-MS)を用いて、個々のフラボノリグナンとタキシフォリンがヒト肝臓とヒト腸のサイトソールで硫酸化されることを見いだした。さらに、組換え酵素を用いた実験により、ヒト硫酸転移酵素(SULT)1A11、1A12、1A2、1A3、1B1、1C4、1E1が、SULT1B1とSULT1C4で硫酸化されないシリジアニンを除いて、試験化合物のすべての硫酸化を触媒することが判明した。検出された硫酸化生成物はモノ硫酸塩であり、そのうちの主要なもののいくつかは、silybin A 20-O-sulfate、silybin B 20-O-sulfate および isosilybin A 20-O-sulfate と同定された。さらに、試験化合物をシリマリン混合物で試験した場合にも、硫酸化が確認された。フラボノリグナンおよびタキシフォリンの硫酸化は、シリマリンと上記のすべてのSULT酵素、ヒト肝および腸のサイトゾル、さらにヒト肝細胞とのインキュベーションによって生成されたが、硫酸化のスペクトルおよび量は代謝モデル間で異なっていた。今回の結果とヒト硫酸転移酵素の代謝組織での発現パターンを考慮すると、フラボノリグナンとタキシフォリンは腸と肝臓の両方で硫酸化を受ける可能性があり、SULT 1A1、1A3、1B1、1E1がシリマリンの成分の生体内変換に関与している可能性があると結論付けられる。
[原文:Linked PubMed®]
Identification of Human Sulfotransferases Active towards Silymarin Flavonolignans and Taxifolin