タキシフォリンおよびタキシフォリン含有胃粘着性微粒子はin vivoで胃の治癒を促進し、in vitroでヘリコバクター・ピロリを抑制し、in silicoでプロトンポンプを可逆的に抑制する。
Stenger Moura FC, Cechinel-Filho V, Greco FA, Venzon L, Meurer MC, França TCDS, Longo B, Somensi LB, Mariano LNB, Cruz AB, Macchiarulo A, Schoubben A, Ricci M, Belle Bresolin TM, da Silva LM.
Chem Biol Interact. 2021 Apr 25;339:109445. doi: 10.1016/j.cbi.2021.109445. Epub 2021 Mar 16.
[概要(翻訳版)]
タキシフォリン (3,5,7,3,4-pentahydroxy flavanone or dihydroquercetin, Tax) は胃粘膜保護化合物として同定され、最近、胃での滞留時間と放出時間を延長するための胃粘着製剤が開発されました。そこで、本研究では、TaxおよびTax含有胃粘着性微粒子(MPTax)の酢酸誘発胃潰瘍に対する胃治癒効果を検討した。さらに、TaxとH+/K+-ATPaseとの相互作用をin silicoで検討し、その抗H. pylori活性をin vitroで測定した。MPTax(81.37mg/kg、Tax 12.29%含有)を1日2回、7日間経口投与したところ、Veh:91.9 ± 10.3 mm2に対して63%潰瘍面積を減少させた。Tax(10mg/kg、p.o.)は、Vehicle投与群に対して、潰瘍を40%縮小させたが、p=0.07であった。組織学的解析でも、これらの効果が確認された。TaxとMPTaxは潰瘍部位の胃ムチン量を増加させ、ミエロペルオキシダーゼ活性を低下させ、グルタチオン還元体量を増加させた。しかし、MPTaxだけが潰瘍部位のリポペルオキシドの蓄積を減少させた。さらに、TaxとMPTaxは、カタラーゼとグルタチオンS-トランスフェラーゼ活性を正常化させた。TaxはH+/K+-ATPaseとin silicoで可逆的な相互作用を示し,抗H. pylori効果が確認された(MIC = 625 μg/mL)。これらの結果から,Taxの抗潰瘍作用は,H+/K+-ATPaseおよびH. pyloriに対する阻害作用と並行して,胃保護因子の強化が関与していることが示唆された.Taxの潰瘍治癒作用が胃粘着性微粒子によって促進されたことを考慮すると、このアプローチは酸消化性疾患の治療における経口デリバリーとして有望であると思われる。