抗精神病薬による雌ラットの酸化的卵巣障害および生殖機能異常に対するタキシフォリンの効果

Ince S, Ozer M, Kadioglu BG, Kuzucu M, Ozkaraca M, Gezer A, Suleyman H, Cetin N.
J Obstet Gynaecol Res. 2021 Jun;47(6):2140-2148. doi: 10.1111/jog.14769. Epub 2021 Mar 23.

[概要]
目的:定型抗精神病薬(TAP)は、統合失調症や双極性障害の治療によく使用されている。しかし、TAP使用中に女性に錐体外路障害、高プロラクチン血症、生殖機能異常が観察されている。このため、clozapine(CLN)などの毒性の低い、プロラクチンを温存する非定型抗精神病薬(AAP)が開発されています。本研究の目的は、Wistarアルビノ雌ラットのCLNおよびハロペリドール(HPL)に関連する卵巣および生殖毒性に対するタキシフォリンの効果を検討することである。

方法:ラットを健常対照群(HCG)、CLN、HPL、タキシフォリン+クロザピン(TCL)、タキシフォリン+ハロペリドール(THL)としてグループ化した。薬剤は28日間各群に投与された。その終了時に、各群から6匹のラットの卵巣組織を病理組織学的および生化学的分析のために採取した。残りの6匹は生殖機能異常の評価のために検査された。

結果:CLN投与群およびHPL投与群の卵巣組織では、一次卵胞、二次卵胞および始原卵胞に重度の変性と空胞化が認められ、そのうちマロンジアルデヒド(MDA)レベルが高く、総グルタチオン(tGSH)レベルが低値であった。タキシフォリン投与群では、タキシフォリンがMDA値の上昇とtGSH値の低下を有意に抑制し、病理組織学的損傷の重症度が低いことが確認された。また、タキシフォリンはCLNやHPLに伴う不妊や妊娠の遅れを有意に抑制することが明らかとなった。

結論:この実験の結果は、タキシフォリンがCLNやHPLによって引き起こされる酸化的卵巣障害、不妊、生殖機能不全の治療に有益であることを示唆している。

[原文:Linked PubMed®]
The effect of taxifolin on oxidative ovarian damage and reproductive dysfunctions induced by antipsychotic drugs in female rats