プロスタグランジンE2を介した免疫反応の低下がCOVID-19病の重症化を促進する
Ricke-Hoch M, Stelling E, Lasswitz L, Gunesch AP, Kasten M, Zapatero-Belinchón FJ, Brogden G, Gerold G, Pietschmann T, Montiel V, Balligand JL, Facciotti F, Hirsch E, Gausepohl T, Elbahesh H, Rimmelzwaan GF, Höfer A, Kühnel MP, Jonigk D, Eigendorf J, Tegtbur U, Mink L, Scherr M, Illig T, Schambach A, Pfeffer TJ, Hilfiker A, Haverich A, Hilfiker-Kleiner D.
PLoS One. 2021 Aug 4;16(8):e0255335. doi: 10.1371/journal.pone.0255335. eCollection 2021.
[概要(翻訳版)]
SARS-CoV-2コロナウイルスは、数百万人が罹患するパンデミックに発展している。本研究では、COVID-19の重症化の危険因子、すなわち男性、高齢、座りがちな生活習慣が、罹患していない被験者の血液サンプルで高いプロスタグランジンE2(PGE2)血清濃度と関連していることを発見した。COVID-19患者では、PGE2の血中濃度は著しく上昇し、疾患の重症度と正の相関がある。SARS-CoV-2は、シクロオキシゲナーゼ(COX)-2をアップレギュレートし、PG分解酵素である15-ヒドロキシプロスタグランジンデヒドロゲナーゼを減少させることにより、感染肺上皮細胞においてPGE2の生成と分泌を誘導している。また、SARS-CoV-2に感染した生きたヒト精密切断肺スライス(PCLS)では、COX-2の発現が上昇していることがわかった。高齢者の定期的な運動は、血清中のPGE2濃度を低下させ、ヒト前B細胞株において、B細胞の生存、増殖、分化のマスターレギュレーターであるPaired-Box-Protein-Pax-5(PAX5)の発現を増加させ、長生きするメモリーB細胞へと導くことが知られている。さらに、COVID-19患者の血清中のPGE2レベルは、ヒト前B細胞株におけるPAX5の発現を低下させることが判明した。PGE2阻害剤タキシフォリンは、SARS-CoV-2によるPGE2産生を低下させる。結論として、SARS-CoV-2、男性、高齢、座りがちな生活習慣はPGE2レベルを増加させ、初期の抗ウイルス防御を低下させ、重症化および多重感染を促進する免疫の発達を低下させる可能性がある。定期的な運動とタキシフォリンの投与は、これらのリスクを低減し、重症化を防ぐ可能性があります。
[原文:Linked PubMed®]
Impaired immune response mediated by prostaglandin E2 promotes severe COVID-19 disease