タキシフォリンによる低酸素および炎症環境下での歯髄幹細胞保護効果
Fu X, Feng Y, Shao B, Zhang Y.
Cell Transplant. 2021 Jan-Dec;30:9636897211034452. doi: 10.1177/09636897211034452.
[概要(翻訳版)]
背景:歯髄幹細胞(DPSC)は、歯周病学や歯内療法などの歯科医療において、将来的に臨床応用が期待されるユニークな細胞源である。しかし、DPSC は異常な条件下ではアポトーシスを起こしやすい。タキシフォリンは天然フラボノイドであり、抗低酸素作用や抗炎症作用など多くの薬理作用を有している。我々は、タキシフォリンが低酸素状態や炎症状態においてDPSCを保護する機構を解明することを目的とした。方法:ヒト歯髄組織からDPSCをLonza社から購入し(カタログ番号:PT-5025、スイス・バーゼル)、DPSCのバイオマーカーにより同定した。製造元の説明書に従い、in vitroでDPSCを分化させた。ARS染色とOil red染色により、2週間後のin vitroでの分化効率を検証。様々な遺伝子やタンパク質の変化は、それぞれQ-PCRとウェスタンブロットで確認した。細胞生存率はCCK-8法で、アポトーシスはAnnexin V/PI 染色で判定した。
結果:DPSCのin vitro分化では、低酸素とTNF-αが相乗的にDPSCの生存と骨形成を阻害することが示された。最終濃度10μMのタキシフォリンは、炎症および低酸素条件下でのDPSCのアポトーシスを有意に減少させることができる。タキシフォリンは、HIF1aではなく炭酸脱水酵素IX(CA9)の発現を大幅に増加させ、CA9発現の阻害は、低酸素および炎症条件下でのタキシフォリンの保護作用を無効化した。
結論:タキシフォリンは、DPSCのアポトーシスを抑制するとCA9の発現を有意に増加させ、タキシフォリンは低酸素および炎症条件下でCA9と相乗的にアポトーシスからDPSCを保護することがわかった。タキシフォリンはDPSC関連疾患の臨床治療のための潜在的な薬剤として使用できる。
[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin Protects Dental Pulp Stem Cells under Hypoxia and Inflammation Conditions