ソルターゼA阻害剤TaxifolinはMethicillin耐性黄色ブドウ球菌の接着を阻害する
Wang L, Wang G, Qu H, Wang K, Jing S, Guan S, Su L, Li Q, Wang D.
Front Microbiol. 2021 Jul 6;12:686864. doi: 10.3389/fmicb.2021.686864. eCollection 2021.
[概要(翻訳版)]
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の進化と蔓延は、人間の公衆衛生に隠れた大きなリスクとなっている。臨床的に使用されている抗生物質はほとんど効かなくなってきているため、新規の抗感染症戦略の開発が緊急に求められている。黄色ブドウ球菌(S. aureus)のシステイントランスペプチダーゼ・ソーターゼA(SrtA)は、タンパク質の表面への固定化を仲介することから、SrtAを阻害する化合物は抗ウイルス剤としての可能性があると考えられている。ここでは、漢方薬から単離されたフラボノイド化合物である強力なSrtA阻害剤Taxifolin(Tax)の有効性を報告する。TaxはSrtAの活性を可逆的に阻害し、IC50は24.53±0.42μMであった。Taxは200μMの濃度で哺乳類細胞およびS. aureusに対して毒性を示さなかった。さらに,Taxはin vitroにおいて,S. aureusの付着力,バイオフィルムの形成,S. aureus protein Aの細胞壁への固定を減少させ,SrtAの病原性に関連する表現型を抑制した.SrtAとTaxの相互作用のメカニズムは、局在表面プラズモン共鳴アッセイを用いて決定された。その結果、SrtAのAsp-170とGln-172がTaxと結合する主要な部位であることが確認された。さらに、Taxがマウスを致死量のMRSAによる肺炎から守り、生存率を著しく向上させ、肺組織内のS. aureusの生存数を減少させることがin vivo実験で確認された。本研究は、Taxが黄色ブドウ球菌感染症に対する新規薬剤の開発に有用なパイオニア化合物であることを示している。
[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin, an Inhibitor of Sortase A, Interferes With the Adhesion of Methicillin-Resistant Staphylococcal aureus