ラット坐骨神経の虚血・再灌流誘発酸化傷害に対するタキシフォリンの効果
Yuceli S, Suleyman B, Yazici GN, Mammadov R, Cankaya M, Kunak CS, Bulut S, Suleyman H, Altuner D
Transplant Proc. 2021 Dec;53(10):3087-3092. doi: 10.1016/j.transproceed.2021.09.041. Epub 2021 Nov 10
[概要(翻訳版)]
背景:虚血とは、様々な原因により組織への血流が減少または完全に停止した状態のことである。再灌流の過程は、臓器や組織における虚血による障害を悪化させる。虚血再灌流障害には、主に活性酸素種(ROS)が関与しています。活性酸素の増加は、脂質過酸化(LPO)および酸化ストレスにつながります。文献上、タキシフォリンは活性酸素の産生を抑制することが報告されている。本研究は、フラボノイドの一種であるタキシフォリンがラットの坐骨神経のIR損傷に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。方法::本研究では、30匹のアルビノWistarラットを3群に分けた。坐骨神経に薬物を投与しないIR群(IR)、タキシフォリンを投与するIR群(TAX+IR)、坐骨神経を切断しただけのsham群(SHAM)である。腹部大動脈と腸腰筋動脈に2時間の虚血と3時間の再灌流を行い、坐骨神経損傷を誘発した。坐骨神経組織について生化学的および病理組織学的検討を行った。酸化ストレスマーカーとしてマロンジアルデヒド、総グルタチオン、グルタチオン還元酵素、グルタチオン過酸化酵素を、炎症ストレスマーカーとして腫瘍壊死因子-α、インターロイキン-1β濃度を生化学的検査で評価した。
結果:IR群はTAX+IR群に比べ、統計学的に有意に酸化ストレスおよびサイトカインレベルが高く、抗酸化物質レベルが低いことが示された。また、タキシフォリン投与により、病理組織学的に有意な改善が認められた。
結論: タキシフォリンは坐骨神経のIR傷害の予防に有効である可能性が示唆された。
[原文:Linked PubMed®]
Effect of Taxifolin on Ischemia/Reperfusion-Induced Oxidative Injury of Sciatic Nerve in Rats