フラボノイドであるケルセチンおよびタキシフォリンのUVAによるヒト初代皮膚ケラチノサイトおよび線維芽細胞の損傷に対する影響
Rajnochová Svobodová A, Ryšavá A, Čížková K, Roubalová L, Ulrichová J, Vrba J, Zálešák B, Vostálová J
Photochem Photobiol Sci. 2022 Jan;21(1):59-75. doi: 10.1007/s43630-021-00140-9. Epub 2021 Nov 27
[概要(翻訳版)]
太陽光線に含まれる紫外線(UV)は、皮膚組織に恒久的な影響を与える。UVA光子は最も豊富な紫外線成分であり、細胞内の活性酸素種(ROS)の形成を刺激し、様々な生体分子に酸化的損傷を与える。植物由来のポリフェノールは、有効な光防御剤として知られている。本研究では、ケルセチン(QE)およびその構造的関連フラボノイドであるタキシフォリン(TA)が、同一のドナーから得たヒト初代皮膚線維芽細胞(NHDF)および表皮角化細胞(NHEK)のUVAによる損傷を軽減する可能性について評価した。QEまたはTAで前処理した細胞(1時間)を、ソーラーシミュレーターを用いてUVA光に曝露した。両フラボノイドは、NHDFにおける活性酸素の発生、グルタチオンの枯渇、一本鎖切断の形成、カスパーゼ3の活性化などの酸化的障害を効果的に防止した。これらの保護作用は、非照射NHDFと照射NHEKで認められたNrf2核転座の刺激と、ヘムオキシゲナーゼ-1、NAD(P)H:キノン酸化還元酵素1、カタラーゼなどの抗酸化蛋白質の発現を伴っていた。ほとんどのパラメータにおいて、QEはTAより強力であった。一方、TAはすべての濃度範囲で保護作用を示したが、QEは試験した最高濃度(75 μM)で保護作用を失い、そのプロオキシダント性が示唆された。
以上より、ケルセチンとタキシフォリンは,同一のドナーから得たNHEKとNHDFにおいてUVA防御能を示した。しかしながら、QEのin vitro光毒性については、他の論文で発表されており、本明細書でも議論されている。QEのヒトに対する皮膚科学的応用における安全性を評価し、ヒトの皮膚におけるex vivoおよび臨床試験の結果を確認するためには、さらなる研究が必要であると思われる。
[原文:Linked PubMed®]
Effect of the flavonoids quercetin and taxifolin on UVA-induced damage to human primary skin keratinocytes and fibroblasts