タキシフォリンはWnt/β-カテニン経路を介したマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)10の阻害により、ヒト気管支上皮細胞の炎症性傷害を改善する
Chen Y, Mei Y, Yang L, Li W, Zhou Y, He S, Liang J
Bioengineered. 2022 Jan;13(1):1198-1208. doi: 10.1080/21655979.2021.2018384
[概要(翻訳版)]
タキシフォリン(TXL)は、ジヒドロケルセチンとしても知られ、植物界に広く存在する最も重要なフラボノイドの1つである。TXLは、呼吸器疾患において重要な役割を果たすことが証明されつつある。本研究では、TXLがTNF-α刺激BEAS-2B細胞において喘息発症に影響を与える詳細なメカニズムを明らかにすることを目的とする。TNF-α誘導前後のTXL処理BEAS-2Bの細胞生存率検出にはMMTを使用した。TXLをin vitro喘息モデルに暴露した後,定量的逆転写PCR(RT-qPCR),酵素結合免疫吸着法(ELISA)およびウェスタンブロットにより,炎症性サイトカイン,MUC5ACおよびICAM-1の発現量を測定した。次に、フルオレセイン透過率、TUNELおよびウェスタンブロットを用いて、光透過率およびアポトーシスを測定した。MMP10を過剰発現させた後、上記のアッセイを再度行った。最後に、Wnt/β-catenin経路とMMP10の関連性を、この経路のタンパク質を検出することによって確認した。TXLは、TNF誘導BEAS-2B細胞の細胞生存率を増加させる。TXLは、TNF-α誘導BEAS-2B細胞の炎症、粘液形成、およびアポトーシスを抑制することがわかった。さらに、TXLとMMP10の結合部位を予測した結果、MMP10を過剰発現させるとTXLのTNF-α誘導BEAS-2B細胞の進行抑制作用が逆転することがわかった。
タキシフォリンは、Wnt/β-catenin経路を阻害することにより、MMP10の発現を抑制することから、喘息治療薬として期待できる。今後、この一般的に使用されている生理活性フラボノイドを用いた喘息のin vivo実験的研究が、喘息治療の新しい道を開く可能性がある。
[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin improves inflammatory injury of human bronchial epithelial cells by inhibiting matrix metalloproteinase (MMP) 10 via Wnt/β-catenin pathway