タキシフォリンは腸内細菌に作用して酪酸を産生し、DSS誘発潰瘍性大腸炎を緩和する

Li W, Zhang L, Xu Q, Yang W, Zhao J, Ren Y, Yu Z, Ma L
Nutrients. 2022 Mar 3;14(5):1069. doi: 10.3390/nu14051069

[概要(翻訳版)]
タキシフォリンは、炎症性腸疾患の治療に使用されているバイオフラボノイドです。しかし、DSS誘発性大腸炎や腸の健康に対するタキシフォリンの作用はまだ不明である。ここでは、DSS誘発のマウスの腸粘膜炎に対するタキシフォリンの効果について検討した。DSS投与マウスを対象に、タキシフォリン投与の有無による腸粘膜傷害の程度と炎症反応を測定し、糞便中の代謝物および16S rRNAによる腸内細菌叢の変化を検討した。さらに、糞便微生物叢の移植によりそのメカニズムを探った。その結果、DSS誘発マウスにおいて、タキシフォリン投与により体重減少や下痢スコアが減少し、タキシフォリン投与後に長い結腸長を示した。一方、大腸のGPR41とGPR43の発現は、タキシフォリン投与により有意に増加した。さらに、大腸組織におけるTNF-α、IL-1βおよびIL-6の発現は、タキシフォリン処理によって抑制された。糞便の代謝パターンは、DSS処理後に著しく変化したが、これはタキシフォリン処理によって回復した。重要なことは、タキシフォリンは、DSS処理マウスの糞便中の酪酸とイソ酪酸のレベルを有意に増加させたことである。腸内細菌叢の観点からは、タキシフォリンはAkkermansiaの変化を逆転させ、さらにuncultured_bacterium_f_Muribaculaceaeを減少させることが確認された。タキシフォリン投与マウスの糞便移植では、下痢スコアの低下、大腸の炎症反応の低下、腸粘膜障害の軽減が認められ、これらは糞便代謝物中の酪酸レベルの上昇と関連していると思われた。
結論として、本研究は、タキシフォリンが腸内細菌叢を変化させてSCFAsの産生を増加させることにより、DSS誘発性大腸炎を改善することができるという証拠を提供するものである。

[原文:Linked PubMed®]
Taxifolin Alleviates DSS-Induced Ulcerative Colitis by Acting on Gut Microbiome to Produce Butyric Acid