サルモネラエンテリカ由来SSBタンパク質の結晶構造とフラバノノールタキシフォリンによる阻害

Lin ES, Huang YH, Luo RH, Basharat Z, Huang CY.
Int J Mol Sci. 2022 Apr 15;23(8):4399. doi: 10.3390/ijms23084399.

[概要(翻訳版)]
一本鎖 DNA(ssDNA)結合タンパク質(SSB)は、複製、修復、組換え、複製フォーク再開などの DNA 代謝に関与し、細胞内で中心的な役割を担っています。SSBは細胞の生存に必須であるため、抗病原体化学療法の魅力的なターゲットとなる可能性がある。本研究では、抗生物質に対して高い耐性を持つ日和見病原体Salmonella Enterica serovar Typhimurium LT2(SeSSB)由来のSSBの結晶構造を決定し、ssDNA結合部位の大きさを検討した。その結果、SeSSBの単量体は、N末端にオリゴヌクレオチド/オリゴ糖結合(OB)フォールドドメイン、C末端にフレキシブルテールを持つことが明らかになった(PDB ID 7F25)。SeSSBのOBフォールドのコアは、6本鎖のβバレルがαヘリックスで覆われたものである。SeSSBの結晶構造には、非対称ユニットあたり2つのモノマーが含まれており、これは2量体を形成していることを示唆していると思われる。しかし、ゲルろ過クロマトグラフィー分析により、SeSSBは溶液中で4量体を形成していることが示された。電気泳動移動度シフト解析により、SeSSBと一連のssDNA dAホモポリマーとの複合体の化学量論的特性を明らかにし、ssDNA結合部位のサイズは約22ntであると決定された。また、フラバノノールであるタキシフォリン(別名ジヒドロケルセチン)がSeSSBのssDNA結合活性を阻害することも見いだした。このように、今回の成果により、SSBのインタラクトームが、幅広い薬理活性が期待される天然物であるタキシフォリンにも拡張された。

[原文:Linked PubMed®]
Crystal Structure of an SSB Protein from Salmonella enterica and Its Inhibition by Flavanonol Taxifolin